ここ何年かの投資信託の信託報酬の手数料競争の激化によって、新しく登場しているファンドほど、信託報酬という投資信託の年間保有コストが引き下げられています。
次々に新しい投資信託が出てくるので目移りしてまいますよね。
最近ではバランスファンドでもかなり信託報酬の安い投資信託「eMAXIS Slime(イーマクシス スリム)」なんかもでてます。なんとバランスファンドで年率0.159%という安さです。
私は過去に一度だけ投資信託の乗り換えをした事があるのですが、ここで一つ疑問に思いました。
「投資信託を乗り換えるには一度売却する必要がある。売却益には税金がかかるので、途中でコストが安い投資信託乗り換えはするのは果たして得なのか?得だとしたらどれくらいの期間で得になるのか?」
という事で調べてみました。ご参考までにどうぞ!
信託報酬の差はどれくらいリターンに影響するか?
ここでは仮に投資信託を年率5%と仮定して、15年運用した2つの投資信託の差額を計算してみたいと思います。投資額は1000万円とします。
【投資信託比較】
投資信託A(信託報酬1%)
1000万円×(5%ー1%)15=1881万円
投資信託B(信託報酬0.3%)
1000万円×(5%ー0.3%)15=2007万円
その差なんと126万円です。いかに投資信託では信託報酬が安いのが有利が分かりますね。
コストの安さでこれだけリターンが変わるなら、投資信託はコストが安いものに乗り換えた方が良さそうに見えます。
手数料の高い投資信託は安い投資信託に乗り換えるのが正解か?
「コストの違いでこれだけの差が出るのだから安い投資信託に乗り換えた方がいい!」と思いがちですがはたしてそうでしょうか?
乗り換えに税金がかかる以上、それは難しい問題になってしまいます。
税金が発生すれば長期で運用する場合マイナスリターンとなってしまいます。
投資信託は利益を確定させるするまでは税金がかかりません。そのため、含み益が出ているファンドを乗り換えようとする場合には、税金が発生してその分だけ、投資元本が減少してしまいます。
先ほど、投資信託Aを15年運用した結果を計算しましたが、今度は投資信託Aをそのまま15年間運用した場合と、投資信託Bに乗り換えして15年運用した場合を計算してみました。
年数 | そのまま運用 | 乗り換え運用 |
---|---|---|
投資元本 | 1881万円 | 1704万円 |
5年 | 2289万円 | 2145万円 |
10年 | 2784万円 | 2699万円 |
15年 | 3388万円 | 3243万円 |
20年 | 4122万円 | 4272万円 |
※小数点は切り捨て
なんと…!プラス20年の運用でようやく乗り換えした場合の方がリターンが上回りました。この結果は自分でも驚きです。
いかに乗り換えにより税金が高くつくかが分かりますね。現在、投資信託を積み立てしていて今後の運用する年数が少ない方は乗り換えない方がお得という事になります。
もし乗り換えたい場合は売却するのではなく、今の投信はそのまま保有して新しい投信を積み立てした方が最終的な利益は高くなる可能性が高いですね。
ちなみにこれは現在保有している投信に利益が出ている状態のときに言える事で、もし仮に現在含み損になっている場合は売却しても税金がかからないので、売却して乗り換える事をオススメします。
投資信託の乗り換えは慎重に
投資信託の買い替えや乗り換えは以下の結論になりました。
投資信託の乗り換えまとめ
投信は乗り換えのために1度売却すると税金コストが高い。
❶現在保有している投信が含み益が出ている場合はそのまま保有して、新しい投信を積み立てる
❷現在保有している投信が含み損が出ている場合は売却して、新しい投信を積み立てる。
やっぱり税金が一番のコストという事ですね。
もし新しい投資信託を積み立てしたい場合は、現在の投資信託の積み立ては売却せずに積み立てだけ停止して、そのまま運用した方がリターンは良いという事です。
他にも株で損失が出ている時なんかに投資信託を利益確定すると、利益と損失が相殺されるので乗り換えのタイミングになりますね。
新しい投信を積み立てるなら「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」なんかコストが安くてオススメです。